元カレと再会した場合

バスの中はギュウギュウ状態で、必死でもがいても押しつぶされそうになる。




すぐ隣で突っ立ってる朔は、頭一つ分人より抜けているせいか涼しげな顔をしている。




背を分けて欲しい…切実に。



急にバスが少し揺れて、前にいた男の人の足が私の足を勢いよく踏んだ。




「いっ、…!」



大声を出しそうな私の口を、自分で塞いで止める。




そんな私を見つめていた朔が仕方なさそうに私の方へ詰めてきた。




な、なんだ!?




こんなに近づいて…嫌がらせか!?




ただでさえ狭いのに、どんどん近づいてくる朔に痛む足を気にしながら警戒する。





私を窓と自分で挟んだ朔は、窓に手をついた。

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