元カレと再会した場合
これは…わかりづらいけど、朔なりに人混みに押しつぶされてた私を守ってくれてるんだよね?
ギュウギュウと潰されてた私を気にして。
「…ありがと」
これは素直にありがとうと言わなきゃいけないじゃないか。
もう離れてなんて言えない。
だから着くまで私は、朔の息がかかるほどの近い距離で耐えなきゃいけない。
もう今の時点で顔が真っ赤だけど耐えられるかな…?
こういう甘酸っぱい感じは慣れてなくて、発狂したくなるんだけど!
あ、しないけどね?
「ねーねー見て見て!お母さん!あのカップル、ラブラブだよ!!」
悶々と考え込んでいると、あどけない子供の声が聞こえてきた。
え、…それって私たちのこと言ってる?
ちっさい男の子が目をまん丸にして、私たちを指差しながらお母さんに言っているのが見えた。