明治、禁じられた恋の行方
5.再会
長崎から帰ってきた後、布団でゆっくりと睡眠をとり、すっきりとした頭で思い返すと、千歳の胸にははっきりと達成感があった。
楽しかった・・・
その気持ちは千歳を熱くしてくれ、生きる希望が湧いてくるようだった。
だが。
その太陽にはすぐに雲がかかる。
まだ何も終わってない。
絶対に、引きずり下ろす。
母様。
忘れてないよ。
顔を引き締め、千歳は志恩の部屋へ向かった。
その日も、やり取りをした相手方との手紙や、実際の契約締結の処理を教えられ、千歳は鬼気迫る勢いで作業に集中するのだった。
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「どうですか、千歳嬢は。」
聞いてくる高倉に、分かってるだろ、と返す。
「上々だ。今回も2件、契約に繋がった。」
千歳が社交場で交渉に参加するのも、もう3度目となっていた。
「優秀だな。この人材が遊郭に流されようとしていた日本の愚かさを嘆く。」
では、契約は?
聞いてくる高倉に返す。
「更新だ。次の項目に移るぞ」