明治、禁じられた恋の行方

冬璃と別れ、八神家に戻った千歳は、
早々に自室に籠もってしまった。

書斎で文献を探す以外は、ここ2日間、志恩とも高倉とも、ほとんど顔を合わせていない。

「どうなさったんですか」

横浜で何か?
そう聞く高倉に、俺にもわからん、と志恩は答える。


あの日、千歳がただの無邪気な少女だった時間は一瞬だった。


何か、父の言葉について彼女は気付いたのだろう。


今は一旦泳がせますか、という高倉の言葉に、
苦々しく頷いた。
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