明治、禁じられた恋の行方

黒田、広幡、細川。
その3つも、過去、千歳が父に連れて行ってもらったことのある地名に間違い無かった。

父から訪れるということは、そこに何か関わりのある人がいたということ。


千歳は、記憶を頼りに、各地で訪れた、
資産家、地主、また、運輸業等の重役に連絡をつけようとした。


だが。


「また、お取り潰し・・・?」


その全てが、破産、不祥事によるお取り潰し、そして一家離散と、当時を知るどの者とも、連絡がつかなくなっていたのだ。


おかしい、絶対におかしい。


園池家を含め、まるで、何かを知ってしまったがために、
消されてしまったかのようだ。


ぶる、と身体が震える。


怖い。


千歳は自身を抱きしめた。


いや、これは武者震い。真実に近づけているんだから。


千歳は、記憶に残っている、柳原という男を尋ねることに決めた。
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