明治、禁じられた恋の行方

お世話になっている身で、黙ってはおけない。

千歳は、志恩、高倉にも、
今自分が掴んでいる情報を話した。

そして、一度柳原家に訪れてみようとしていることも。


「そいつが何か握っているのは確実なのか。」


分からない。でも・・・


「あの時、重要な荷物が無くなったのに、全然大事にならなかったの。必死で取り戻そうとしていた様子もなくて・・・

何かを運んでいたんじゃないかなと、思ってる。

盗難に見せかけて、どこかに持って行きたかった何かが、あったんじゃないかな・・・」


志恩と高倉は目を見合わせる。


「一人では行くな。
 来週であれば、俺も時間が空く。一緒に行くのが条件だ。」


巻き込みたくはないが、自分一人の力では限界がある。
千歳は、お願いします、と頭を下げた。


高倉は、そんな二人を、じっと見ていた。
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