明治、禁じられた恋の行方

水音が響く。

二人は、今までの距離を埋めるようにキスをしていた。

舌を絡め、唾液を貪る。


溺れそうになりながら、千歳が目を開けると、
志恩も薄く目を開けてこちらを見ていた。


欲に染まった、雄の目


抵抗できるわけがない。
ぞくぞくと這い上がる感覚に千歳はぎゅっと目をつぶり、
夢中でキスを受け止める。


志恩も、クラクラとする頭で考えていた。

千歳が、自分のキスに応えてくれている。
こんな、純粋で小さな身体が、自分を求めている。

女とのキスで、こんなに堪らない気持ちになったことがあっただろうか。


「あぁ・・・」

どちらの声かも分からない吐息が漏れる。


はぁ、と長いキスを止める。

が、

「志恩・・・」

高く鳴くような声に、志恩はぐっと顔を切なそうにしかめる。
駄目だ。止まらない。

「千歳・・・」

少し離れてはどちらからともなく激しく噛み付く。



「・・・っ。駄目、駄目だ。ちょっと、待って。」


余裕の無い声で志恩がそう言うまで、
長い長いキスは続いた。
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