明治、禁じられた恋の行方
「阿片・・・!」
高倉と千歳の声が重なる。
あの、麻薬の・・・?
事の大きさに、クラリとする。
「阿片の密輸で大儲け、だな。」
椅子にもたれ掛かってしまった千歳に、志恩は続ける。
「千歳、もしそれが事実なら、お前の父親も、危ないのはこれからかもしれない。」
嗅ぎつかれそうになったら、無実のやつをどんどん切り捨ててる。
いざとなれば、自分だけ助かる気だな。
その言葉を聞きながら、千歳は目眩がする程の怒りを感じた。
そんな、そんなことのために。
関わった家の人たちを、
父様を、母様を・・・!
ぎゅっと、爪が食い込む程握りしめた両手を、志恩は優しく解く。
「警察に言っても、警察自体に、近衛家の息がかかっている可能性がある。」
使えそうなのは、雑記記者か・・・
知り合いに話をさせよう、
そう言って志恩は千歳の頭を優しく撫でた。