明治、禁じられた恋の行方
「知り合いの雑誌記者が動いてくれるそうだ。」
次の日、早速志恩は動いてくれたようだ。
だが、高倉がこなしていた業務の多忙さから来る疲労に加え、
その目には隠しきれない寂しさが浮かんでいる。
「志恩、私・・・」
私が出ていく、高倉さんに戻ってもらって。
そう言いたい。だが・・・
今、この家を放り出されたら、自分にはもう、居場所も、戦うための手段も無くなってしまう。
そう思い、言葉が出せない。
何て情けない、人にしがみつくしかないなんて。
ギュッと唇を噛みしめる千歳を見て、
志恩は、分かってるよ、というように、優しく髪を撫でた。