明治、禁じられた恋の行方
じゃ、俺は原稿準備すっから!と走り去る飯田を二人で見送る。
姿が見えなくなると、千歳がぐるん、と志恩に向き直った。
「絶対払う」
ふ、と志恩は笑い、どうやって払う気だよ、と言う。
少し考え、千歳は志恩の袖を掴んだ。
「これが全部終わったら、私はどこに売り飛ばしてくれてもいい。死ぬまでかかってもいいから、絶対返す。」
言い終わる前に、ダンッ!と志恩の腕が千歳の横を掠める。
「千歳」
わかってる?
怒りで溢れるような目をしている。
「一生、俺のそばで返してもらう。もう逃げられないよ」
赤面する千歳の唇に、志恩は優しくキスをした。