明治、禁じられた恋の行方
千歳はその言葉で、飯田への暴行が近衛家によるものだと確信したようだ。
唇を噛みしめ、ごめんなさい、と声を震わせ、部屋を出て行った。
その姿を苦しい気持ちで見送り、
で、何があった、と飯田に向き直る。
「本当に申し訳ねぇ。近衛家に、捕まった。」
その言葉に、やはり焦って動きすぎたか、と志恩は額に手を置く。
「情報が漏れたのは、どこからだ。」
柳原か、あるいは聞き込みをした相手か?
そう聞く志恩に、飯田は言いづらそうに答えた。
「高倉だよ。あいつ、近衛家側についてやがった」