明治、禁じられた恋の行方

残された二人を包んだのは、重い沈黙だった。

飯田からの話は何だったのだろう・・・

聞くべきだと分かっているのに、千歳は声に出せずにいた。



志恩から伝わる冷たい空気。

数日前までの、ドロドロに甘やかすような空気とは大違いだ。

目も合わせず、言葉も交わさず、書斎に入ってしまった。



何か、会社や、もしかすると命に関わるような脅しを受けたのだろうか。


私が、志恩に甘えたばっかりに・・・


頭を抱え、そして、千歳も決意する。


顔を上げた表情は、覚悟の色に染まっていた。
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