明治、禁じられた恋の行方
どうしよう。
千歳は、公園の腰掛けに座って考えていた。
覚悟は決まっている。
色々な人に頼って、助けられて、
そのおかげで、戦う気力は充分だ。
もう、守られてるだけじゃ、だめだ。
でも、家もない、仕事もない。
とにかく今は、働き口を探さないと。
ゴソゴソと荷物を開き、所持金を確認する。
園池家から八神家に向かう際に持っていた、若干の生活費。
志恩がそのまま持っていいと言ってくれたおかげで、助かった。
このお金が尽きる前に。
よし!と千歳は勢いよく立ち上がった。
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しかし、自力で仕事を見つけたことも、働いたこともない千歳が、そう簡単に仕事を見つけられるはずがない。
千歳はまず、片っ端から、人が多く働いている所に飛び込んだ。
呉服屋での着物の仕立て、駅舎での事務員、三越の販売員、印刷女工、などなど・・・
結果は、全敗。
出所もよく分からない、働いたこともない女を雇うような所は無い。
「仕事!?あんた、誰かからのツテはあるのかい。」
「どこかのお嬢さんかもしれないけどね、
働いた経験が無いなら、そうすぐには雇えないよ」
歩き回り、千歳はグタッとして、また元の公園に掛けていた。
自分の無力さと世間知らずさに、また、情けなくなる。
経験・・・は、今更、すぐにつけることは無理。
じゃぁ、・・・口利き。
口利き・・・
よし!
再び千歳は立ち上がった。