明治、禁じられた恋の行方
その日の夜、千歳は安宿で項垂れていた。
全っ然、駄目だった・・・
千歳が華族で名を知る家や、学校の同級生の家を当たっても、
皆、哀れみの目を向けてくれるものの、
手を貸してくれる家は無かった。
大丈夫、まだ、回りきれていない所もあるし。
安宿は壁が薄く、カタガタとした物音が鳴る。
音がする度にびくびくと震えていたが、
疲れもあってか、気付くと深い眠りについていた。
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一週間が、あっという間に過ぎていった。
嘘のようにお金が減っていく。
さすがに、焦りが千歳を支配する。
どうしよう・・・
頭の中に浮かぶ顔はある。
あの人なら、きっと、助けてくれる。
でも、それだけは出来ない。しちゃ、いけない。
顔を上げ、千歳はつい先日も訪れた場所へ向かった。