明治、禁じられた恋の行方
「何で俺に連絡しなかった。」
その言葉を聞き、やっぱり、と唇を噛む。
ここに来たということは、私の今の状況が耳に入ったのだろう。
「誰から聞いたの」
今俺が質問してんだろ、と不機嫌そうに麗斗が言う。
それでも黙ったままの千歳に、はぁ、と溜め息をついて答えた。
「柳原のとこの爺さんだよ。お前、会いに行ったんだろ。」
千歳は目を見開く。柳原が、何で、麗斗に?
目が何故と言っていたのか、麗斗が続ける。
「あの爺さん、こないだ夜会で俺に言ってきたんだよ。」
お前が露頭に迷ってるけど、いいのかって。
更に目を開き、きゅ、と眉を顰める。
あの人・・・!何を・・・
そんな千歳の表情を見て、麗斗は苦しそうに言った。
「そんなに、俺に連絡すんの、嫌だった?」
「それか、どうせ連絡しても無駄だと思った?」
前例があるもんな、
そう言って下を向く。
麗斗に連絡する気は無かった。
そんな事をしたら、また、家に反抗したって、自分がどうなったって、助けてくれると分かっていたから。
「麗斗には、連絡出来ないと思った。」
麗斗が目をあげてこちらを見る。怯えたような目。
「私は、麗斗の気持ちに答えられないから」
「もし、助けてくれても、私は麗斗が欲しいものを返せない。」