明治、禁じられた恋の行方

「今度、外国の方も沢山いらっしゃるパーティがあるの。」


それから一週間ほど経ち、華の相手だけではなく、近衛家の商談の席に同席させてもらえるようになった頃、華がはっきりと誘いを口にした。

「近衛家のお嬢様と、私のような平民がいっしょにいれば、皆さま驚かれてしまいますよ。」

何とか避けたいと思いそう言う志恩だが、華はめげない。

志恩さんはすごく人気があるの、お美しいし、友人もきっと会いたいと言うわ、

袖を掴み言う華に、内心うんざりとする。


俺は、見せびらかすための洋服でも鞄でも無いんだよ。


上手く断りたかったが、ちょうどその日、イギリスからの商談相手が来るという事で、
志恩は進まない気持ちのまま、夜会に参加することになった。
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