明治、禁じられた恋の行方
千歳は、それからどうなって、今車に乗っているのか、
あまり思い出せなかった。
きっと麗斗がフォローしてくれたのだろう。
大いに反省すべき所があるのに、どうしても一つの事しか考えられない。
私は、何か、勘違いしていたのかもしれない。
志恩は確かに私を見放したけど、
それは近衛家の脅しがあったからであって、
心は自分に向いていると思ってた。
でも・・・
今日の冷たい態度と言葉を思い出す。
名前を呼んでくれたとき、すごく嬉しかった。
でも、もしかしたら、これまでの全部、私の勘違いだったんだろうか。
何か、約束をした訳でもない。
慣れている志恩にとっては、何でもないことだった?
私は、あの人に、
愛されてなかったのかもしれない。
そう思うと、次から次へと涙が溢れてくる。
見兼ねた麗斗がハンカチを貸してくれたが、
それがびしょびしょになるまで、千歳は泣き続けた。