かくれんぼ、かくれっこ。
考え事をしながら学校に向かう。

するといつもより早く家を出たらしく、教室内には誰もいなかった。

自分の席に伏せて、1つ机を挟んだ隣りの彼の席を見つめる。

「はぁ〜…」

昔のあのこと…。

マナミは彼が、私を忘れていると言った。

息をついて窓の外を見る。

目を閉じるとガラッと戸が開く音がした。

「あれ、俺2番か」

それは昨日聞いた彼の声。

「おはよう、えっと…守形さん?」

挨拶を返さない訳にもいかない。

「おはよう、山口君」

私が話したことに彼は何故かホッとしていた。

「どうしたの?」

「昨日、1度も話さなかったから」

「ふふっ、面白いね山口君」

初めましてから始める。

だけど、私があのことを忘れるわけが無い。
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