かくれんぼ、かくれっこ。
ヒナが数えてる間に、俺とマナミは屋上を目指す。

「マナミ」

「何?」

「ありがとう」

そう言うとマナミは嬉しそうに微笑む。

「うん…」

だけど、何か言いたそうだった。

その予感は的中して…。

「ねえ勘太くん。昔に流行ってた噂知ってた?」

「うん、知ってた」

俺は答える。

「そっか。私もねずっとやってた。鬼になって勘太くんを一番に見つける。私、あの時勘太くんのことが好きだったんだ」

急な告白に足が止まる。

「今は友達としてだよ、もちろん!でも、昔は振り向いてほしくて必死だった。遊んでいるうちにカナワナイって思った」

「カナワナイ?」

「うん、恋もヒナにも」

俺も今だから思い出すことができた。

あの時は、誰かじゃなくてヒナと遊んでたから楽しかった。

「私がね、勘太くんに協力したのは前に進んでほしかったから。もう辛い笑顔を見るのは嫌なんだ…」

マナミが俺を真っ直ぐに見る。

「後悔、なくしてね!」

マナミの思いがひしひしと伝わってくる。

だから俺は、

「おう!ありがとうな!」

今精一杯の笑顔で言った。
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