かくれんぼ、かくれっこ。
寝たフリをして窓の外を眺める。

窓の外にあるのはいつもの平穏。

教室に皆入ったのか、廊下は静かになった。

「席につけー」

担任の一声で皆席に着く。

「もう知ってる奴もいるだろうが、転入生が来た。早速だが、中入れ!」

ガラッと戸が開き、見知らぬイケメンが入って来た。

「中学上がるまでこっちにいました。知ってる人もいるかと思います。山口堪太です、よろしくお願いします」

山口堪太、その名前を聞いて私は顔を上げる。

背丈も声も変わってしまったけれど、面影は残っていた。

「えーウソ、堪太君!?」

マナミが声を上げる。

「お、マナミじゃん。やほ」

「やほっ!」

目を合わせないように顔を伏せる。

あの時から1度も話していない。

「山口の席は、花守の隣り空いてるか」

「はい、空いてます」

「じゃあそこで、分かんない事があったら花守に聞けな」

ホームルーム終わりー、と担任が言えば教室からいなくなる。

彼とはアキラを挟んだ隣り。

最高に居心地が悪かった。
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