いってらっしゃい
タイトル未編集
「おはよ」
いつもと変わらない朝。
私はお父さんの方を見ないでそう言った。
これもいつもと変わらないこと。
「……おう」
おはようくらい、言ってよね。
「はぁー」
あからさまにため息をついてみても反応はない。
私達は、1年前に事故でお母さんをなくした。
それが地獄の始まりだった。
私のお父さんは変わっている人だ。
お母さんが笑顔で話しかけても、表情一つ変えない。
それは私と話す時も同じ。
だから、お母さんは大好きだったけど、お父さんは嫌いだった。
そんなお父さんとの二人暮し。
楽しいわけがない。
会話なんてほとんどない。
笑いも喧嘩もない。
苦痛だった。
こんな家に帰ってきたくなかった。
朝ごはんを作りながらお父さんの方を見る。
コーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。
これは朝の日課。
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