いってらっしゃい

足を組みながら眉間にしわを寄せてるのもいつも通り。

ニコリともしないお父さんの顔。

真顔以外を見た記憶はほとんど無い。


「朝ごはんは?」

「俺は大丈夫」

これもいつもの会話。

「そろそろ行くかな」

お父さんは時計を見ながらおもむろに立ち上がった。

そのまま玄関に行って、玄関扉の開閉音が聞こえた。

"いってきます"も"いってらっしゃい"もない。


いつも通り。

いつも通り。

なんの変化もない日々。

私は少し、寂しいのかもしれない。
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