いってらっしゃい

『ねぇ、パパを助けてあげて』

懐かしい声が聞こえて、その瞬間目が覚めた。



お母さん……。

命日だから、会いに来てくれたのかな?

助けてあげてって、何?

意味わかんないよ。

「喉乾いた…」

時計を見るともう11時すぎ。

明日も仕事だし、さすがにお父さんももう自分の部屋にいるでしょ。

そう思って階段を降りた。

え?

リビングの明かりがまだついている。

こんな時間まで、何してるの?

耳をすませると、聞こえてきたのは泣き声だった。

あのお父さんが……ないてる……?

そんなの初めてだ。

「母さん…。
なんでいなくなっちゃったんだよ…」

お父さんはお酒を飲みながら泣いていた。

お母さんの遺影の前にも、お酒を置いて。
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