2570 ー男子高校生とOLー
* * *
「お待たせー」
脱衣所から出ると、五月がバスタオルの上に座って天井を見上げていた
こちらに気がついてわずかに首を傾げる
「だいぶ早いっすね」
「うん。だって、ほら床に座ってる。海パン脱がないと部屋の中でくつろげないもんね」
「そうなんすけど、体調悪くないですか」
会話になっているような
なっていないような
ゆっくりシャワーを浴びて良かったのにと言いたいのだろう
「ありがとう、大丈夫よ」
優しい子だな
私は微笑んでから、ため息混じりに笑った
「そっか」
「うん」
肩にかけたタオルで髪を拭きながら、座ったまま立ちあがろうとしない五月の前にしゃがんだ
「なんですか」
「助けてくれてありがとう。五月くんが現れた時、どれだけ安心したか。命の恩人よ」
「当然助けますけど」
「うん......」
涼しい顔で言われ、1時間ほど前のぶっ飛び発言を思い出す
あれー
______この子本当に私のこと
______いや、溺れてたんだから当然助けるって意味よね