2570 ー男子高校生とOLー
その時
五月の右手がそっと上がり
指先がお腹___というよりはTシャツにそっと触れた
_______え
「大丈夫ですか、ここ。肘ぶつけられた?」
「う、うん!そう......あの時めっちゃ痛くて。めっちゃ痛くてさ......」
見てたんだ
私が溺れた理由、分かってて......
誰も見てないと思ってた
五月くんだけが、何が起こったのかしっかり見ていてくれた
次の瞬間
予期せず目尻がじわっと涙でにじむ
うっっっそでしょーー自分
「はは......やばい。23なのに高校生の前で泣くとか無いよね」
「いやムリしすぎです」
五月は呆れたようにボヤきつつも、優しい表情で首を振る
そしてすっくと立ち上がり、私を見下ろした
「風呂上がり、かわいいですね......泣き顔も。シャワー浴びた後、一回抱きしめさせてください」
脱衣所へ向かう背中を見送りながら
私の心臓は音を立てずに爆発したのであった