2570 ー男子高校生とOLー
行くな
* * *
後になって早苗が溺れたと聞いて
安井は慌ててロッジにやってきた
火野くんがここまで彼女を運んだと、仁香が教えてくれた
「火野くん、早苗さん」
呼びかけるが、広いロッジはシンと静まりかえっている
風呂場にいるなら帰ろうと脱衣所の前まで来てみたが、音はしない
踵を返してビーチに戻ろうとした時、2階から降りてきた火野くんと目があった
「安井」
「火野くん、早苗さん溺れたって聞いて。大丈夫......?いまどこに......」
階段を降りた彼の元まで焦って駆け寄ると、一度頷いた後に答えが返ってきた
「大丈夫。今は2階の個室で休んでる」
「そっか、よかった。......僕も」
様子を.......
2階にあがろうとした手首が、鋭い反射神経でがっちりと掴まれ
僕は階段を上がろうとした足を、そっと元に戻した
「い、行かない方がいいかな」
まずいことしたかな
火野くんの目が見れない