2570 ー男子高校生とOLー
「あの、来なくていいです」
「君に僕の素性が分からないように、僕にも君の素性が分からないからね」
「........」
男2人が私を挟んでなんか言っている
ちなみに私はどちらの名前も分かっていない
3人無言で足音だけが響く時間が続き
マンションの入り口までたどり着くと、男子高校生は男を一瞥して「いつまでついてくるんですか」と尋ねた
「.......早苗さんが部屋に入るのを見届けるまで」
男子高校生は真顔をこちらに向けて「こいつに部屋知られたらヤバいのでは?」と脳内に語りかけてくる
シッテル
コイツ
サイショカラ ヤバイ
私は2人に気づかれない程度にため息をつくと、もうどうにでもなれと階段を駆け上がった
背後から2人のついてくる足音が聞こえる
えーっと
なんでこんなことになったんだっけ
そんなことを考えながらカバンから鍵を探り出し、自分の部屋の前にたどり着くとガチャガチャとドアの鍵を開ける
ただ、なぜだか
男子高校生の存在に安心してしまっている自分がいた
「送ってくださってありがとうございました。おやすみなさい」
「あ、はい」
そう言って男に対して頭を下げる私に続いて
「では」
部活帰りジャージ姿の男子高校生は、私の部屋に上がり込むと即座にその扉をバタリと閉め、鍵をかけた