2570 ー男子高校生とOLー
彼は首を振る
強固な意志を感じて、私は少し首を傾げた
「他に好きな子がいるの?」
「そういうわけでは......。でも断りたいので、なんて言えばいいか困ってます」
うーん
単純に、顔がタイプじゃなかったのかな
そこの第一印象で
恋愛対象になるかどうかの9割(だっけ.......?)が決まるって言うしね
私は「うーん」と唸った後
「好きな人がいるって嘘ついちゃえばいいんじゃない?」
と冗談混じりに提案した
「え?」
「だからこれから仲良くなったとしても、あなたを好きになることはありませんって。あなたは初恋を今でも忘れられずにいて、彼女の居場所は分からないけれど、今でもずっとその子を想っているって設定にしちゃえばいいのよ」
「すごく具体的ですね......」
「具体的な方が諦めざるを得ないでしょ?それでもしあなたが数ヶ月後に初対面の転校生美少女と良い感じになって付き合っちゃったら大笑いだけどね!あんな話嘘じゃない!!って」
そこまで言って、余計な話までベラベラと喋っている自分にハッとする
「冗談冗談。ほんとに学校に好きな子がいるならこの嘘はやめた方がいいよね。両思いだったのに、その子にまで知られたら、あなたを諦めてしまう可能性があるから」
ははは......と苦い笑いをこぼす私に、彼は優しく笑った
「早苗さんは、こう言うシチュエーションの時はどう対応するんですか」
......お前喧嘩売ってんのか
私は思わぬ質問に目を見開くと、その綺麗な顔を思い切りパンチしたくなる衝動を抑える
「ありません、そんなシチュエーション」
惨めだ.....!
惨めだよう......!!
あまりの悔しさに
歯を閉じたまま呟いた