2570 ー男子高校生とOLー
五月はこちらを見ず目線を下にしたまま
「俺が帰らなかっただけです」
と微笑む
火のついた鍋から出来上がったものをお椀によそっているようだ
「どうぞ」
そう言って差し出されたのは、湯気のたつ味噌汁
「飲んでください」
「ありがとう.......」
味噌汁作れたんか.......君.......
私はその出来栄えに感心しながら、両手でお椀を持ちリビングのテーブルに移動する
昨晩の罪悪感からか、無意識に正座をしてズズズと味噌汁を啜ると、その温かさがじわりと体に広がった
「しみる.......」
後からテーブルにやってきた五月も、一緒になって味噌汁を飲む
私はほっと一息ついて尋ねた
「ね......寝た?」
「はい。ソファを借りました」
「うわーごめんソファなんかで寝させて。良く眠れなかったでしょ」
「いや、どこでも寝れるタイプなんで」
とは言うが
気を使ってそう言ってくれてるだけで
あまり休まらなかったに違いない
最悪だ
彼は今日も部活なのに_____
そこで彼には今日も部活の予定があることに気がついて、私はバッと顔を見上げる
「ねぇ部活は!?」
「今から行きます。一旦部屋に戻って、シャワー浴びてから」
現時刻AM8:16
いつもは8時起きって言ってたっけ......
「間に合いそう?」
「はい」
「あ、ごめんお弁当ないね......」
「買っていきます」