2570 ー男子高校生とOLー
第2章
はい、姫のドレス
合コンの日から約2ヶ月が経った
五月は高校の屋上からグラウンドを見渡しつつ、あの夜のことを思い出す
自分のことを頼ってくれたと思っていた早苗は、あの日以降ずっと、自分を部屋に入れることはなかった
夕飯は持たせてくれるが、部屋で食べさせてはくれず
社会人と
高校生
彼女はそんな身分の違いをひどく気にしているようだ
気持ちはわかる
けれど
6歳しか離れていないのに
「あ、五月発見!もーどれだけ探したと思ってるの」
背後から響く、先ほど逃げてきた声に俺は内心うんざりしつつ、素直に諦めて振り返る
「悪い」
「だったら最初から逃げないでよね。今から衣装合わせなんだから」
衣装合わせ
明後日の文化祭
通称「渕高祭」のための準備だ
今日明日の2日間、授業は行われず、生徒たちは文化祭の準備に打ち込むことになっている
協力すべきなのは分かっているが、いまいち気が乗らなかった
それもそのはず
俺のクラスの出し物は
「女装カフェ」
なのだから
「さ、行こ」
俺はクラスの文化祭実行委員である辻元絵菜に腕をガッチリと掴まれて、再び教室へと戻る羽目になった