2570 ー男子高校生とOLー
「おーー揃ったー。もー遅いよ火野くん」
俺が辻元に連れられて教室に入るなり、衣装の準備をしていたらしいクラスメート畑中雛月(ひなづき)にそう声をかけられる
ふにゃりと笑って1ミリも怒っていなさそうな雛月とは裏腹に、絵菜はイライラしながら溜息をついた
「五月だけじゃなくて他の男子たちも総じて逃げ回ってたからね。集めるのが大変大変」
見てみれば確かに、黒板の前には7名の男子が横一列に並べられている
お前らもみんなして逃げたのか......
気の毒に.......
「火野、逃げ切れなくて残念だったな」
「諦めた方がいいぞ」
「お前もここに並べ」
最悪......
俺は同志たちの言葉に覚悟を決めると、彼らの一番端に並んだ
「五月は別に並ばなくていいよ。衣装はもう一番可愛いやつに決まってるから。コイツらは、ほら、今から衣装を決めるために並んでもらってるの」
「は.......?」
辻元の発言に硬直した俺に、他の男子はニヤニヤした視線を向ける
「イケメンも大変だな」
「よかったー一番可愛いのじゃなくて」
「セーフ」
嘘だろ
誰か嘘だって言ってくれ
「はい、姫のドレス。今試着してね」
そう言って手渡されたのは、ピンク色のドレス
というわけで俺は
文化祭では姫をやることになってしまった