2570 ー男子高校生とOLー
淡いピンク
フリル
真珠のようなビーズ
肩出し(肩出し.......?)
何で俺がこれを?
教室の一角、ロープと黒い布で作られた即席試着室を目の前に、俺はドレスを握りしめて呆然と立ち尽くす
「早く着替えてよ」
俺の心境など知りもしない辻元に促されて、思わず「気がのらない」と返事をした
彼女は「まぁまぁ深く考えずに」と明るく話を続ける
「私たちは誰が何を着ると一番集客できるか考えて割り振ってるの。女子的には五月に一番着て欲しいのは満場一致でコレ。普段そっけないあなたが可愛い格好をしたら絶対受けるから」
満場一致とはよく言う
お前の独断のくせに
「とにかく安心して。マーケティング的にあなたを安売りするようなことはしないから。おさわりも無しだし、お客さんと喋るのもちょっとだけ。肉眼で愛でるか、少しでもお話しできたら超ラッキーくらいの方が、噂になってお客さんが押し寄せるはずよ」
「そんなわけ......」
「自信持って。私が完璧な警備をしてみせるから、あなたは立って、たまにお客さんに不意打ちで微笑んでくれてるだけでいいの」
そんな寒い真似が俺にできようはずがない