2570 ー男子高校生とOLー
「いらっしゃいませー!2年2組によるハンバーガートゥエンティートゥーへようこそ!」
教室に足を踏み入れるや否や、思わず感嘆の声を漏らす
「おー、すーごい。すーごい」
1回目の「すごい」はキラキラでポップな装飾にたいしての「すごい」
2回目の「すごい」は「すごい暇そうですね」の略だ
それもそのはず、現在の時刻は午前10時
まだハンバーガーを食べるには早い時間だ
「お姉さんたち、来てくれてありがとうございます!お客さん全然いないんですよー」
そうだねぇ
私もそう思ってたよ
と心中で頷きつつ
「お昼になったらそのうち賑わうよ」
と声をかける
男子生徒はニカっと笑うと元気よく頷いた
「当然っす!」
「おー」
見知らぬ生徒とそんな会話を交わしていると、横にいた仁香が「海都!」と嬉しそうに名前を呼ぶ
そういえば私、仁香の弟とはあまり接点がないな
海都くんっていうんだ
「姉貴!」
作業をしていた男子生徒のうち1人が振り返って仁香を見つけると、あまりにも嬉しそうに名前を呼ぶので
思わずギョッとして2人を交互に見つめてしまった
「姉貴〜!来てくれてありがと!」
「もちろんだよ海都!」
こいつらブラコン・シスコンだったか
これはちょっと
その場に居続けるのは気が引けてしまいそうだ