きみにもう一度とどけたい、この声を


一階からコーヒーの匂いが薫ってくる。

ついでに卵とベーコンが焼ける匂いも。

フィクションの中では、病気の主人公はこんな日常の匂いにいちいち感激して、生きてる喜びを日々かみしめてるけど、冗談じゃない。

私はもう、死んだも同然だ。

生きてる実感も意味もない。


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