太陽と臆病な猫
それは、出会いなのか
それは、晴天の霹靂のようだった……。

まだ少し蒸し暑い八月の後半。
中高一貫校の中等部二年生、御園 幸(みその ゆき)は、お弁当箱をクラスに忘れてしまい慌てて取りに戻っていた。
「あーあ、俺のドジ! どうして忘れちゃうかな! 家庭教師……まだ来てないといいんだけど……!」
腕時計とにらめっこをしながら走ってクラスにたどり着くと、幸はゆっくりとドアを開けた「あ……」暫く立ち尽くしてしまった幸の目の前では信じられない光景が広がっていた。
キスをしている男女。女子の方は頬を少し赤らめていた。
「佐古くん……」
もじもじする女子と余裕そうに椅子に腰をかけている男子。中々顔が整っているその男子に幸は少し見惚れてしまった。

(かっこいい人だな……でも俺のクラスにこんな人いたっけ……?)

幸の通う中高一貫校は、中等部では学ラン、とセーラー服。高等部ではシャツにブレザー着用が制服になっておりよく見ると、その女子と男子は、高等部の制服を着ているように見えた。
そこで、上に掛かっているクラスの札をちらりと見ると、そこは幸のクラスで間違いなかった。
(やっぱり二年四組……だよね……?)

「ごめん。ここ君のクラスだった??」
「あ! え! あっ!はい!!」
ふと声を掛けられ、声が少し上擦ってしまい変な声を出してしまった幸は顔を赤らめ、改めて「そうだと……思うんですけど……」と答えた。
「きゃっ……! 誰なの君!?」女子は口元を押さえ、幸よりも真っ赤な顔をして、乱れた服を正し始めた。
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