夏が残したテラス……
俺は、前に一歩進んだ気がして、気持よく波に乗っていた。

 テラスから、奏海が見ている……

 そろそろ上がろうと岸へむかうと、知らない女が手を振って近づいて来た。

 誰だ?
 げっ。由梨華だ……

 由梨華は、俺の許可なく、店へついてきた。

 そして、失礼極まりない発言に俺をイラつかせた。
 一番、俺の気を損ねたのは、テラスに出てきた事だ。

 奏海は、由梨華の姿を見て、すぐに中に入ろうとした。
 奏海が出て行く必要なんてない。
 だって、ここは奏海のテラスなんだから……

 俺は、焦って奏海に声を掛けた。

 だが、口から出たのは、ダイビングの予定の事だ。

 何をやってるんだ、俺は…… 
 とにかく、この女を追い払いたい。だが、ホテル買収が済むまでは、これ以上やっかいな事はしたくない。
 もう少しだ……

 俺も、奏海の後を追うように店の中へと入った。
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