夏が残したテラス……
「えっ?」

 目の前がさーっと暗くなり、改めて現実を付き出された気がした。


「そんなに、驚かなくても、週末はなんとかするから……」 

 私の胸は、締め付けられるように苦しくなってどうしていいか分からない。なのに、口が勝手に動き出してしまった。

「別に、気にしなくていいわよ。店の事ならなんとでもなるわ」

 私は、海里さんに背を向けたまま言っていた。


「何、怒ってるんだよ。週末は戻るって言ってるだろ?」

 海里さんは、少し困ったようだが、穏やかな声だった。だけど、私の感情はもう、コントロールが効かない。


「だから、気にしなくていいって言ってるじゃない!」

 私は声を上げていた。


「週末、困るだろ?」

 それでも、海里さんの声は穏やかだったのに……


「困らないわよ! 海里さんなんて居なくたって困らない……」

 何を言っているんだろう、だけど、もうどうにも出来ない。


「そうかよ!」

 流石の海里さんの声も、冷ややかになった。その声に、しまったと心の声がしたが、もう遅かった。


 海里さんは、私の方を見ていた目を海に向けてしまった。


 やめておけばいいのに、私の口は、又、勝手に動き出してしまった。


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