迷宮知らずの迷探偵事務所『迷探偵と名探偵助手』
占い通りの依頼人
横浜駅とみなとみらい駅を地図上で一直線に結ぶと、丁度真ん中くらいに位置した雑居ビルの2階にある事務所『オフィスルナ』。
ここが俺、沖田誠(おきたまこと)の現在の職場だ。
昨夜から今朝にかけての仕事の成果を手に、俺は事務所のドアを開けた。
早くも30℃超えを連日記録する6月。
午前9時過ぎの現在でも少し外を歩いただけで汗ばむ陽気だが、事務所内は朝の挨拶よりも先に思わず「寒っ」と第一声をあげてしまうくらいにクーラーが効いていて、半袖の俺には肌寒い。
眠気覚ましと暖をとるのも兼ねてコーヒーでも淹れようと、お気に入りの豆を用意していると、「おー、おかえり。俺もコーヒー欲しい」と目を擦りながら結人が洗面所から顔を覗かせた。
彼の名は月下結人(げっかゆいと) 、何を隠そうこの事務所の所長で、俺の唯一の同僚であり、そして高校時代の同級生でもある。
結人は欠伸をしながらソファに腰かけスマホをいじると、液晶画面をこちらに向けた。
「この写真完璧。どっからどう見ても浮気現場だわ。うん」
「警戒心0だったからな。イージーすぎて拍子抜けだったわ」
俺は答えながらコーヒーの入ったマグカップを結人の前に差し出した。
「サンキュー。とはいえ浮気調査とかよく頼むよな。男なんてみんな浮気すんだろ。そこも踏まえて結婚しないとさー」
ワイドショーでしたら炎上確実であろうコメントをする結人だが、浮気肯定派とかそういった類いの話ではなく、単にここ最近の依頼内容への不満の表れだというのが俺にはわかる。
というのも名前からでは分からないとは思うが、『オフィスルナ』は月下結人を所長とする探偵事務所なのだ。
ここが俺、沖田誠(おきたまこと)の現在の職場だ。
昨夜から今朝にかけての仕事の成果を手に、俺は事務所のドアを開けた。
早くも30℃超えを連日記録する6月。
午前9時過ぎの現在でも少し外を歩いただけで汗ばむ陽気だが、事務所内は朝の挨拶よりも先に思わず「寒っ」と第一声をあげてしまうくらいにクーラーが効いていて、半袖の俺には肌寒い。
眠気覚ましと暖をとるのも兼ねてコーヒーでも淹れようと、お気に入りの豆を用意していると、「おー、おかえり。俺もコーヒー欲しい」と目を擦りながら結人が洗面所から顔を覗かせた。
彼の名は月下結人(げっかゆいと) 、何を隠そうこの事務所の所長で、俺の唯一の同僚であり、そして高校時代の同級生でもある。
結人は欠伸をしながらソファに腰かけスマホをいじると、液晶画面をこちらに向けた。
「この写真完璧。どっからどう見ても浮気現場だわ。うん」
「警戒心0だったからな。イージーすぎて拍子抜けだったわ」
俺は答えながらコーヒーの入ったマグカップを結人の前に差し出した。
「サンキュー。とはいえ浮気調査とかよく頼むよな。男なんてみんな浮気すんだろ。そこも踏まえて結婚しないとさー」
ワイドショーでしたら炎上確実であろうコメントをする結人だが、浮気肯定派とかそういった類いの話ではなく、単にここ最近の依頼内容への不満の表れだというのが俺にはわかる。
というのも名前からでは分からないとは思うが、『オフィスルナ』は月下結人を所長とする探偵事務所なのだ。
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