幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
その夜は山下さんのお父さん、お母さん、妹さんと一緒にご馳走を頂くことになり…
お父さんが山下さんの結婚を話題にあげて嬉しそうに涙ぐんだところで、山下さんが「結婚とか後継ぐとかやっぱりないわー」と平然と言ってのける。
「こんのっお前は!たばかりよって、馬鹿者めが!!」
「はいはい、馬鹿息子ですみませんね。親父はモウロクする前にさっぱり工場たたみなよ。不渡りとか出す前にさ」
その後、山下さんのお父さんはずっとヘソを曲げていたけど、それでも不思議と暖かい感じのする素敵な家族だった。
「…涼介、喜んでくれるかな」
帰り道は地元で評判のお店に寄ってもらって、長野名物のお焼きや野沢菜をお土産に買って帰る。
夜中に涼介を起こしたら悪いのでそーっと部屋に戻ると、まだ明かりがついてた。
「あれ?涼介起きてたの?」
普段は涼介が寝ている部屋の扉が開いたままになっている。中を覗くと、スーツ姿のまま涼介が床に倒れていた。
「どしたの!?あっ、すごい熱出てる…!」