Sign of Love
 栞那の話によると、わたしが季節はずれのインフルエンザに打ちのめされている間に、坂巻さんがうちの課の雑務をほとんど請け負ってくれていたらしい。文句のひとつもこぼさずに、どんな仕事でも快く引き受けてくれる優しさに、栞那は感激してしまったのだとか。

課を跨いで仕事を手伝ってくれる人なんて、他にいない。というかまず、うちの課でしているルーティンワークを記憶していないと絶対に無理だから、普通は手伝いようがないというか。坂巻さんはいろんな意味で出来た人だ。

「一回くらい飲みに誘いたいけどなあ。坂巻さんいつも帰りが遅いから誘いにくいんだよなー。彼女はいないはずなんだけど」

「え、まさか訊いたの?」

「いや、訊いてない。けどそういうのって雰囲気にでるじゃない? ボーナス査定マックスの高給取りとか、狙い目すぎるでしょ。SEって独立しちゃえば余裕で一千万プレイヤーだし」
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