私は年下彼氏のヒモウーマン『完』
その男はそう言って私に名刺を差し出した。


『実鳳出版 編集部主任 石井駿真』


私は驚いた。スイーツ界での一流雑誌である。


「こちらの店を取材させてください。
お願いします。」


その男は深く深く私に頭を下げた。


「あ、ありがとうございます。ただ少しお時間頂けますか?検討してみます…」



うちの店は完全な取材拒否店、それは業界内でも有名だ。


私はそう答えたものの、断るつもりでいた。
ただ即答できなかったのはなぜか自分でも分からなかった……



「こちらの店が取材拒否されているのはもちろん知っております。でも、どうしてもこのお店の味を紹介したいんです。どうか前向きに検討して頂けますか?よろしくお願いします。」




「近いうちにこちらから連絡いたします。
すみません。」



私がそう答えると、石井駿真という男はさらに深々と頭を下げ、店を出て行った……





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