私は年下彼氏のヒモウーマン『完』
高橋さんはすぐに担当医を連れて戻ってきた。

私の部屋は個室。
それに動けない。だからここで話すんだろう。


「体調はどうですか？」

「あまり……」

「そうですね、まだまだ時間が必要ですが、お伝えしないといけないこともあります。
まず、脳の方には異常は見られませんでした。」

「あ、はい。」
私はそう言いながら、『彼氏』と答えたクマさんの顔を見た。彼もホッとしたようだった。


「足の方も問題ありません。リハビリをきちんとすれば、じきに歩けるようになります。ただ、右腕なんですが、早急に手術の必要があります。非常に難しい手術になると思います。」



私はそのまま全身が震えだした…


医師は私の病状、手術のことなど説明を続けていたようだが、私には何も聞こえてこなかった……


「大丈夫だから、僕はここにいる。」彼は私の手を強く握りしめて、代わりに医師の話を聞いてくれたようだった。



どのくらい時間が経過したのだろう？私にはとても長い時間に感じた。





話はどうやら終わったらしく、2人は頭を下げ、部屋から出て行った。



大きな手のクマさんは、私を大きな体で強く強く深く深く、何も言わないで抱きしめてくれた……




< 35 / 96 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop