願わくは、雨にくちづけ
20時前に別れて、丸ノ内線に揺られる。
相談してよかったと、千夏にお礼のメッセージを送りながら、アドバイスを思い出す。
(これ以上煌さんに甘えられないし、返事は自分ひとりで考えなくちゃいけないって思ってたけど、こういう時こそ、だよね……)
伊鈴は近々会いたいと、立花にもメッセージを送った。
――【煌さん、お疲れ様です。今日は葛城さんの奥さんとご飯を食べてきました。この週末は忙しいって聞いてたけど、他の日で会える予定はありますか?】
そんなメッセージとともに、伊鈴と千夏の仲睦まじい写真が送られてきた。
公私ともに親交のある葛城の妻と彼女が学友だったとは思いもせず、話を聞いた時は世間の狭さに驚いたものだ。
銀座の店の様子を伺ってから、帰宅の途に着いた。
立花はガレージに停めた車内で彼女のメッセージを確認し、ひとまず自宅に入った。