願わくは、雨にくちづけ

 先週末は、伊鈴の誕生日と1年記念を兼ねてデートをした。
 3日間の連休を取ったのは久しぶりだったので、その分今週末に仕事が予定されていたが、土曜には終わると見込んでいる。
 書斎に荷物を置いたところで、伊鈴に返信をする。


【お疲れ様。葛城さんによろしくね。予定だけど、日曜の仕事予定が変更になったんだ。伊鈴さえよければどうかな?】

 スマートフォンを書斎に置き、ウォークインクローゼットで着物を脱いでから、そのまま浴室に向かう。
 そして、頭からシャワーを浴び、身体を洗ってからバスタブに浸かった。


「きっと悩んでるんだろうな……」

 長い脚を伸ばし、肩まで湯に浸かる。
 立花は伊鈴が予定外に会いたいと連絡をしてきたので、なんとなく察していた。

 彼女の中で結論が出ているなら、プロポーズの翌日でも返事をするタイミングはあったはず。
 それに、約半年の間アプローチをしている間だって、前向きな答えをくれていただろう。

 立花は、湯に浸かりながら大きく息をつき、彼女ともう1度向き合おうと決めた。

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