願わくは、雨にくちづけ

 立花が彼女の小さな顎に指を掛け、恥ずかしそうに俯いていた顔を持ちあげる。


「愛してるよ、伊鈴」
「煌さん……」
「今夜も綺麗だ」

 顔を傾け、彼女の額にそっとキスをする。
 みるみるうちに赤くなり、その色に比例した温度の頬を大きな手で包み込んだ。

 日本酒で濡れた互いの唇を重ねれば、自然と伊鈴は彼の着物の袖を掴み、それに応えようと目を閉じた。


「伊鈴……お前を食べたい」

 今まで幾度となくひとつになったのに、初々しい反応をする彼女がいたずら心に火を点ける。

 立花は背を倒して自分が下になり、伊鈴を下腹のあたりに乗せて見上げた。

(煌さんの身体、熱い……。お酒のせい?)

「あぁ、綺麗だ」

 月を背負う彼女に手を伸ばした立花は、うっとりとした眼差しに伊鈴を映した。

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