願わくは、雨にくちづけ

「……伊鈴、キスして」

 彼の瞳に映る月に導かれるように、伊鈴は上体を傾け唇を合わせる。
 しっかりとした厚みのある男らしい胸板に手を置き、普段立花がするのを真似て、上下を順に食んだ。

 応えてくる彼の唇のやわらかさに、なんだか恥ずかしくなって思わずやめると、立花は「もう終わり?」と言って、彼女のうなじを引き寄せた。


 伊鈴がキスをする間に、彼は彼女の服に手をかけ、ネイビーのブラウスのボタンを外し、下着を緩める。

(あぁ、たまらない。今夜はどうやっていじめてあげようかな)

 とろけた甘声を漏らす伊鈴が上体を起こし、少しずつ乱れゆく姿に欲が煽られる。


「伊鈴、おいで」

 唇でキスの仕草をして、伊鈴を近付ける。
 今度は彼から積極的に唇を重ねて、舌を絡ませた。

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