願わくは、雨にくちづけ

 ひとしきり愛を確かめ合ったあと、一緒にバスタブに浸かって身体を温める。
 穏やかになった立花を斜め後ろに振り返りながら、伊鈴は背中を預けた。


「今日は、なんだかちょっといじわるです」
「そうか? だとしたら、月のせいだろうな」

(煌さんって、オオカミ?)

 1年経って初めて見た、妖艶で意地悪で容赦のない立花は、まるで獣のようだった。


「かわいかったよ」
「っ……そ、そんなこと言われても困りますっ!」

(もう! もうっ!! 煌さんの意地悪!)

 立花はどんな伊鈴にも恋をすると自信があった1年前よりも、日を追うごとに彼女が愛しくてたまらないのだった。

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