愛と約束
お兄ちゃんと通帳
私の好きな人の名前は、桐江弦刃。
あの、桐江グループ……会社で、皇帝と呼ばれる桐江吊戯の異母弟だったりする。
今まで、名字を出さなかったのは……彼自身、それをよく思っていないからだ。
吊戯さんは弦刃を可愛がってくれてるみたいだけど、それに甘えるのが、そういう家の価値で計られるのが大嫌いな弦刃は会社では、"桐崎”と名乗ってた。
実力でのし上がると言い切った弦刃は私と同じ方法で入社して……私はと言うと、本当は花に関係する仕事がよかったんだけど、弦刃のそばにいたくて諦めた。
自分の将来と恋を天秤にかけて、恋を選ぶなんて……自分でも馬鹿だとは思うよ。
でも、好きになっちゃったんだから。
仕方ないよね。
そして、今日。
仕事は定時で上がり、ファミレスでのバイト。
働いていると、何故かいる瀬戸くんと弦。
瀬戸くんは私がここで働いているのを知ってて、弦とここで落ち合うようにしていたんだと気づき、話したことは失敗だったかと思ったけど……お兄ちゃんの姿を認め、お兄ちゃんが弦に近づいたのを見た時、私はどこかほっとした。
お兄ちゃんは、私の味方だと思ってるからかな。