愛と約束
しばらく、お兄ちゃんと弦は話すと、弦がお兄ちゃんの手に何かを託して。
そして、瀬戸くんとお店から出ていってしまった。
私はそれを眺めながら、何故か、泣きたい気持ちになって。
お兄ちゃんの方を見ると、お兄ちゃんは笑顔で私に手を振ってくる。
仕事中だから、振り返すことは出来ないけど。
私が微笑み返すと、お兄ちゃんは益々笑顔になって。
うちの兄は、愛が強い。
要するに、シスコンってやつ。
いっぱい、いっぱい可愛がってもらってる。
両親の代わりに。
両親は……私たちのことを、何も見ていないから。
そのせいか、お兄ちゃんの性格はどこか歪んでしまってる。
でも、私からすれば、優しい良いお兄ちゃんだ。
時刻は、日付が変わる少し前。
閉店から、2時間。
ようやく片付けを終え、バイト仲間に別れを告げる。
外に出ると。