愛と約束
「よっ、頑張るね。勤労妹」
「お兄ちゃんっ!?」
ガードレールに腰をかけて、私に向かって微笑んだ兄。
閉店と共に出ていったのに……なんで、まだここに?
「お兄ちゃん、まさかずっと?」
「ん。こんな時間に、お前を1人で帰すわけねぇだろ?何かあったらどうするんだ」
「でも……最近、ずっとだよ?大丈夫」
「だーめっ。知ったからには、毎晩、迎えに来るから」
お兄ちゃんはこう言い出すと、決して、覆ってはくれない。
「~~っ、心配性……」
「可愛い妹ですからね」
年の差はかなりある私とお兄ちゃん。
私のオムツを変えてくれたのも、全部、お兄ちゃんだった。
「で、一人暮らししてんだって?」
「うっ……」
「お兄ちゃん、言わなかったっけ?弦刃と暮らすから、渋々、家から出るのを許したってのに」
そう、私は元々、お兄ちゃんとの二人暮し。
だけど、弦刃と住みたくて……お兄ちゃんに交渉して、許してもらって。
絶対に、一人暮らしはダメだと言われていたのに。
「ごめんなさい……」
「ん。よしよし。よく、謝ることが出来たね」
ポンポンと、頭を撫でられる。
顔を上げると、柔らかな笑顔。
「お兄ちゃん、歩は成人しているし、別に一人暮らしが悪いって言ってるんじゃないんだ。ただ、心配。歩は弱いからね」
昔から、お兄ちゃんが守ってくれてた。
だから、私は喧嘩は得意じゃない。